京都工芸繊維大学 情報工学課程 情報工学専攻

在校生からのメッセージ

ハードルが多いほど挑戦したくなるのだ!

 僕が所属している研究室では情報通信に関する様々な研究を行っています。その中でも僕が研究しているのは、アドホックネットワークに関してです。現在、携帯電話やPDAなどの通信には基地局が必要ですが、アドホックネットワークとは、基地局を使わず携帯端末のみで通信を行うネットワークのことです


 例えば、AさんからBさんに情報を送りたい時、AさんからCさんの端末を経由してBさんへ、あるいはCさんの端末から、さらにDさんの端末を経由してBさんへ、というように基地局ではなく複数の端末を経由して通信を行います。基地局を作る必要がなく柔軟にネットワークを作れるので、テーマパークで利用したり、災害時に緊急のネットワークとして利用したり、といった使い方が考えられています。


 ただ、基地局を使わない分、端末への負荷が大きくなる点や、他人の端末を経由させるので、セキュリティ面で不安がある点。経路が複数あるので、どの端末にも公平なように経路選択するにはどうすればいいかなど、実用化のためには問題がまだまだ山積しています。今のところ実機で実験するのは難しいため、パソコン上のシミュレータを使った実験が中心ですが、自分の考えたプロトコルがうまく動作し、消費電力が抑えられたり、結果が出せた時はやはり達成感があります。クリアすべき問題がたくさんあるからこそ、やりがいのある分野なんだと思いますね。


 来春からは家電メーカーに就職が決まっています。今の電化製品はどんどん高機能になる反面、使い方が難しくなっているものも多いですよね。便利で、誰にでも使いやすい「ものづくり」が僕の目標です。もちろん、大学で学んだことを生かしてネットワーク関連の仕事に携わっていきたいですね。



大学院博士前期課程2年次生(持原由尚) 情報通信システム研究室(若杉耕一郎教授) 
大学広報2006抜粋