京都工芸繊維大学 情報工学課程 情報工学専攻

特色ある教育

専攻横断科目「インタラクションデザイン」の紹介


受講者が制作した授業のホームページもご覧下さい。


Interaction Design at Kyoto Institute of Technology

インタラクションデザイン@京都工芸繊維大学


 科学と芸術の融合から人に優しいものづくりを目指す――そんな目標を掲げる本学ならではの授業のひとつが、大学院生を対象に行われている「インタラクションデザイン」。電子情報工学(2005年10月現在)、造形工学(2005年10月現在)等の異分野の学生たちが学域を超えて参加し、混成チームを組んで、さまざまなもの作りに挑戦している。ちなみに、インタラクションとは、直訳すれば「対話」の意味。人とものとが対話するように自然な関係を築くことのできるデザインを考えていくことがこの授業の目的だ。


 2005年度前期の授業では、2つの課題に取り組んだ。ひとつは、テディベア型ロボット「IPロボットフォン」を素材に、人が楽しくコミュニケーションできるロボットを考案すること。もう一つのテーマは、レゴブロックとパソコンを使ってロボットが作れる「レゴ・マインドストーム」キットを使って、視覚センサーを活用したインタラクションデザインを考案するというもの。


 ただし、授業自体はあくまで講義が中心。毎回、デザイナーやプログラマーなどインタラクションデザインに関わるさまざまな人を招いてリレー講義を行ってもらっている。課題に取り組むのは、アイデア出しから製作までほとんどが授業時間外。テディベアの課題は5月末の創立記念日に展示する予定だったため、直前には徹夜で作業したチームもあったとか。また、苦労の甲斐あって、この時の作品のひとつは、計測自動制御学会が主催する2005年度のモーションメディアコンテストで第2位を受賞!


 この授業の仕掛け役である電子情報工学科(2005年10月現在)の岡夏樹教授、園山隆輔講師、造形工学科(2005年10月現在)の櫛勝彦助教授に、授業のねらいや魅力について聞いてみた。


 岡 「私は以前、企業で仕事をしていた頃から、良いものを作るためにはエンジニアとデザイナーとが同じ土俵で話ができることが必要だと痛感していました。そのためには、エンジニアもデザイナーもお互いの考え方や仕事について理解することが必要。実際、工学系の学生とデザイン系の学生とでは、ものの感じ方や考え方が全く違う。その辺のことは、一緒に課題に取り組む中でひしひしと感じてくれていると思います。この授業での経験を通して、あ、こんな考え方をする人間もいるのか、というまずはそこに気付いてもらいたいですね。」


 櫛 「ものをつくる時、やっぱりデザイナーはまず形から入って、それから形の意味を考える。こんな形のほうがカッコイイとか、何でここにこんなものが必要なんだ?とか。一方、エンジニアのほうは、ものが上手く作動するかどうかというパフォーマンス重視。でも、本当はこの両方が合わさらないと、ものづくりはできないんですね。この授業は、今言ったような両面からものづくりを考える良い契機になってくれるのでは、と思っています。」


 園山 「デザイナーが突拍子もないアイデアを出してきて、エンジニアのほうは、ちょっとそれは技術的に無理、と言ったりする意見のぶつかりあいは、実際のものづくりの現場でもしょっちゅうあること。でも、“自分の専門以外には口出ししない”という姿勢ではなくて、意見の違う者同士がとことん意見を出し合って、うまく歩み寄れた時にこそ素晴らしいものが生まれてくる。特に、授業ではお互いに学生だから、どんな意見でも言い合えるはず。そういう経験を通して、立場の違う相手にもどんどん意見をぶつけていけるような、元気な人材に育って欲しいですね。」


 授業では、今後も新しい素材を取り入れながら、多様なものづくりのテーマに挑戦していく予定だ。


(大学広報2006 より抜粋)